揺れだしたけど、どうする?

当訓練ブログは、一部の方にはいろいろメッセージをいただき、大いに好評だが、ライトな方には

「何を言っているのか分からない」など不評、(笑)

しかし、そんなのは気にしない

なぜなら飛ぶことは人間の本能なので楽しいので、少しでも知ってもらえればと思う。

 

さて

この日のフライト

ソロ(一人ぼっちフライト)長距離(50ノーティカルマイル以上)

事前にしっかり飛行計画を立て、目視だけだと視程が25kmでも黄砂やガスでクリアに見えない事も多いので

方位も当然計算、なお 磁石の方位と真方位は違う(以前書いた)つまり磁石の北に行っても北極点じゃなくて

カナダに行ってしまうというずれがある。それも計算に入れる

 

岡南飛行場から広島ヘリポートへ

事前にWindyのアプリで、上空の風も計算

この日の天気図は等圧線の間隔は広いのに風がある、

2000ft 14ノット

上は20ノット以上

私は飛行機のPilotなので、3000ft以上の高度は多少は風も分かるが、ヘリは3000ft以下が基本

つまり新しい世界

下を飛びたいが、山や送電線など限度がある。

予定高度は2500ftだが、2500ftだとこの日は関西TCA(無線)がクリアに入らず、3000ftに上げたら通信可能に

 

岡山から笠岡市をこえて西行、前方に2000ftくらいの山があり 揺れだした。

怖いぜ、

Vne(超過禁止速度)を超えないように、出力と姿勢を数えきれないほど調整、

 

考えてみてください この高度はガタガタと揺れる

正面 山の左手は瀬戸内海に山が迫り、万が一の不時着場所はない、

右は福山市の街、

どうする?

 

低い高度の方が風がないとの事前情報なので、波や煙を見て風向きを判断し

2000ftに降下(万が一の際にはグラウンドに緊急着陸も可能)揺れながら西へ

 

帰投後、教官に報告、デブリーフィングを行うと

「良い経験しましたね、まあ緊急着陸場という意味では正解だけど、南西風ですよね、ということは山の風下に

行ってしまったので余計揺れたわけですよ、なんなら海側を飛んだ方が揺れないか、そのまま3000ftで速度を落とすという方法も

ありましたね」

 

なるほど、BESTな選択ではなかったわけだ。

これも勉強、低い方が風は弱いけど、山の風下はおっしゃる通り風が変化する。

考えれば分かるけど、飛ばしながら、上空で揺れながら地図を見て、入っちゃいけないところなどを考え

ルートと高度変更、

 

いろいろ考えることあるし、お尻から突き上げられる上昇気流の感覚でソロロングフライト

怖いんだぜ~ シミュレーターでは味わえない自然との対峙

 

なんてったって、このヘリ、燃料満タン、人も入れて 最大離陸重量622㎏だかんね。

そりゃあ木の葉のように揺れるわ。